松尾大社は、京都の嵐山にほど近い松尾山の麓に鎮座する、酒造の神として知られている神社でご祭神は大山昨神です。
ここでは、「神社検定テキスト 神社のいろは」第3章の㊶松尾大社について教えてくださいのページの内容を掘り下げて学習し、暗記しやすいようにスマホでも見やすい1ページにまとめてみました。
第11回神社検定は、令和五年6月開催予定!
松尾大社
松尾大社は、京都の嵐山にほど近い松尾山の麓に鎮座している神社です。
現在は酒造の神として名高く、社殿の後にある霊泉「亀の井」は、酒造家がこの水を酒の元水として使うため持ち帰る風習があります。
室町時代末期以降は、「日本第一酒造神」と称されています。
本殿は、「松尾造り」と呼ばれる建築様式の屋根で有名です。
御祭神-ごさいじん
御祭神 大山咋神(おおやまぐいのかみ)中津島姫命(なかつしまひめのみこと)
大山咋神(おおやまぐいのかみ)は、須佐之男神(すさのおのみこと)の御子である大年神(おおとしのかみ)の御子です。
「醸造祖神」とも称される御祭神で、全国の酒造家をはじめ・味噌・醤油・酢等の製造及び販売業の方に崇敬されています。
中津島姫命(なかつしまひめのみこと)は、宗像三女神の次女である市杵島姫命の別名です。
大山昨神はこの地に来られる際、保津川を遡られる時の急流は鯉に乗って、緩やかな流れは亀の背に乗って進まれたとのことから、鯉と亀は神使とされています。
『古事記』によれば、大山昨神は、またの名を山末之大主神といい、近江の日枝山に座し、また、松尾に座す神とあります。
日吉大社の神様で日枝山と松尾山の神でもあります。
大山昨神は、大昔この地丹波国(京都中部、兵庫北東、大阪の一部)に水路を開き沃野を作り、山城国(京都)では荒野が潤ったとされています。
松尾の神は、農業、開拓、土木工事の神としても仰がれるようになりました。
平安時代以降は、朝廷の守護神とされ、全国に勧請され広まっていきました。
磐座-いわくら
古代では、頂上近くの斜面に巨大な岩石を磐座とし自然崇拝されていました。
松尾山の山霊を頂上近くにある磐座に守護神としてお祀りしたのが始まりとされています。
松風苑三庭は、上古(じょうこ)の庭、曲水(きょくすい)の庭、蓬莱(ほうらい)の庭からなり、上古(じょうこ)の庭は古代祭祀の場である磐座を模して造られたものです。
秦氏-はたし
5~6世紀になって、渡来氏族の秦氏集団が移住し松尾山の神を氏神として崇敬し、地域の開拓を進めていったといわれています。
秦氏は、朝鮮半島との交流をしていたため航海安全の神、宗像三女神の中津島姫命を勧請したとされています。
秦氏は絹織物や酒造の技術も伝えており、室町時代以降になると、松尾大社は「日本第一の酒造神」として仰がれるようになっていったのです。
松尾大社は山城国の豪族だった秦氏の氏神であり、賀茂社は賀茂氏の氏神でした。
共に歴史の古さから、賀茂社と松尾大社は、王城鎮護の神社として「賀茂の厳神、松尾の猛霊」と称されてきました。
大宝元年(701年)勅命により秦忌寸都理(はたのいみきとり)が現在地に松尾大社の社殿を造営しました。
山頂附近の磐座から御神霊を移し、秦忌寸都理の娘を斎女として奉仕させました。
斎女(いつきめ)とは、神に奉仕する未婚の女性のことで、古くは童女のことをいいました。
酒神 上卯祭-じょううさい
松尾大社は、酒造りの神としても全国に多くの崇敬を広めています。
松尾大社の公式サイトによると、以下のように記載されています。
松尾大神がなぜ“醸造祖神”として普く世の人々に仰がれ給うのか、諸説有る中、当社の故事によれば…、「神代の昔、八百萬神々が分土山(松尾山)に集い給いて神議りをなされた。しかし、当時はまだお酒と言うものがなく、そこで松尾大神が付近一帯の山田の米を蒸し、御手洗の泉より涌き出る清らかな水を汲み、一夜にしてお酒をお造りになり、大杉谷の杉の木でこしらえた器で、諸神を饗応せられると、『盡せしな甕の酒を汲上て豊の圓居をするそたのしき』と、諸神等はうたわれ大いに喜ばれ給うた。」とあることに由来するものと言われています。
引用 松尾大社
稲刈りが終わり新米ができ酒造りの始まる秋、11月上の卯の日には『上卯祭』醸造安全祈願が斎行されます。
大木札(だいもくさつ)という御神札を受けて、酒蔵に奉斎し酒造りが始まるということです。
4月中の「酉の日」には、醸造完了を感謝する『中酉祭』(ちゅうゆうさい)が斎行されます。
松尾大社には、お酒の資料館も併設されています。
亀の井は、松尾山の麓にある神水で後ろの峰に涌き出ている水をひいたものです。
「亀の井」の神水を酒造の元水に加えると腐らないという言い伝えがあります。
葵祭
古い歴史をもつ松尾大社の例大祭は貞観年間(859~877)に始まり、古くは松尾の国祭と称されていました。
現在では、毎年4月20日過ぎの日曜日から行われるお祭りです。
松尾大社のお祭りも、祭儀に関わる人やご本殿などに葵と桂を飾りますので賀茂祭と同様に「葵祭」といわれてきました。
松尾大社についての問題です
これまでの神社検定試験で実際に出題された過去の問題です。
神社検定試験過去問題集に記載されたものを選んでみました。
問題1
酒造の神として名高い神社ですが、平安時代以降は、賀茂社と並んで王城鎮護の社として篤い崇敬を集めた神社とは次のうちどれでしょうか。
- 平野神社
- 吉田神社
- 松尾大社
- 八坂神社
答えは3 松尾大社
過去の試験での出題
- 令和元年6月16日 第8回神社検定 問28
コメント